平昌五輪フィギュア女子の真相|ザギトワとメドベージェワ1.31点差の光と影
ロシア勢の圧倒的なワンツーフィニッシュに割って入り、堂々の3位表彰台に登ったのがカナダのケイトリン・オズモンド選手でした。ケイトリン・オズモンド 銅メダル 演技は、ロシア勢の細身で回転速度を武器にするジャンプとは対照的に、圧倒的な高さと幅、そして深いエッジワークを生かしたスピード感が特徴でした。重圧がかかる大舞台でSP・FSともに大崩れすることなくまとめ上げ、カナダ女子としては実に2010年バンクーバー大会のジョアニー・ロシェット氏以来となるメダルを獲得しました。
一方、平昌五輪の女子シングルを席巻したことで、ロシアのエテリ・トゥトベリーゼ 指導法は世界の注目を集めると同時に、激しい議論を巻き起こすことになります。
トゥトベリーゼ氏が率いた「サンボ70・クリスタル」の指導メソッドは、徹底した体重管理と厳格な反復練習、そして思春期を迎える前の小柄で身軽な体躯を利用して高難度ジャンプを習得させるシステムでした。ザギトワ選手が見せた後半集中配置やタノジャンプ(手を上げて跳ぶジャンプ)の多用は、現行ルールを数学的に攻略した傑作であった反面、選手にかかる肉体的・精神的負荷は限界を超えていました。
事実、平昌五輪以降、ISU(国際スケート連盟)はルール改定に着手しました。「後半ジャンプの1.1倍ボーナス」は、SPでは最後の1本、FSでは最後の3本までに制限されることになり、メディアからは通称「ザギトワ・ルール」と呼ばれました。さらに、エテリ門下の選手たちが10代後半で相次いで体型の変化や怪我によって早期引退・休養に追い込まれる事態が相次ぎ、後のシニア転向可能年齢を「15歳から17歳へ段階的に引き上げる」歴史的規程改正へとつながっていったのです。