村山由佳『ダブル・ファンタジー』が問いかける性愛と自由の真価
実写化にあたって最大の話題となったのが、主役の奈津を演じた水川あさみと、彼女を取り巻く男性陣の一人を演じた田中圭による迫真の演技だ。抑圧された日常から脱却し、欲望の渦へと飛び込む激しいヒロイン像を、水川あさみは体当たりで体現した。撮影現場では、一歩間違えれば単なるスキャンダラスな愛憎劇に陥りかねない緊張感のなか、役柄の深層心理を突き詰める壮絶な議論が交わされたという。
奈津を翻弄し、同時に彼女の底知れぬ魅力に引き込まれていく男性を演じた田中圭もまた、複雑な人間の業と色気を圧巻のリアリティで演じ切った。二人が生み出した画面越しの化学反応と息を呑むような空気感は、キャスト・スタッフ陣の並々ならぬ覚悟が生み出した奇跡的な成果と言える。