【追跡2026】閉鎖から5年、姿を消した「シンボル」の現在地——東大赤門の補強工事が直面する知られざる難題と再開へのシナリオ
なぜ工事にはこれほどの年月を要しているのか。その最大の理由は、赤門が文政10年(1827年)に建立された国指定重要文化財であるという事実にある。
一般的な現代建築であれば、鉄骨でフレームを補強したり、コンクリートを流し込んだりすることで耐震性を高めることができる。しかし、重要文化財においては「創建当時の姿と構造を可能な限り損なわないこと」が厳格に求められる。柱一本、瓦一枚に至るまで、解体や補強を行う際には文化庁との緻密な協議が必要となるのだ。
さらに、180年以上前の木材内部の腐食状態や、過去の修復歴による歪みの蓄積など、解体・調査を進めて初めて判明する課題も少なくない。目に見える工事に入る前の「調査と計画立案」だけで数年の歳月を費やすのは、文化財修復の世界では決して珍しいことではないのだ。