対向車パッシングの真相!アダプティブドライビングビームの落とし穴
配光制御の思想と実装メカニズムは、メーカー各社でアプローチが分かれています。代表的な3社のシステムを比較すると、それぞれの技術的優位性と個性が浮き彫りになります。
トヨタがレクサスやクラウン、ハリアーの上位グレードなどに展開する「アダプティブハイビームシステム(AHS)」の最高峰が、トヨタAHS最新技術の象徴である「ブレードスキャン方式」です。高速回転するブレードミラーに10数個のLEDから光を照射し、残像効果を利用して極めて細かい配光パターンを形成します。わずかなLED数で数百個規模の独立制御に匹敵する繊細な遮光を実現し、対向車のドライバーの顔周りだけをピンポイントで避ける制御を可能にしました。
一方、独自路線を貫くマツダALHとの比較では、左右それぞれ20ブロック前後に細分化されたLEDを電子的に直接点滅させる「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」が知られています。可動機構を持たないソリッドステート構造のため作動レスポンスが極めて速く、耐久性に優れる点が強みです。40km/h以下の市街地ではワイド配光、高速道路では光軸を引き上げるハイウェイモードなど、速度に応じたモード切り替えが緻密です。
アイサイトのステレオカメラと高度に協調するスバルADB作動条件は、実用性と誤作動防止のバランスに重きを置いています。スバル車の場合、車速約30km/h以上で作動し、街灯が多く明るい都市部や市街地では無駄なハイビーム照射を抑制するプログラムが組まれています。悪天候時の車線認識や立体物検知に定評のあるアイサイトを活用することで、悪路やブラインドコーナー手前での予測マスキング精度を高めています。