ヴァン・マッコイ『ザ・ハッスル』誕生秘話と早逝の天才が遺した功績
『ザ・ハッスル』を語る上で欠かせないのが、一度聴いたら頭から離れないあの軽快な高音のリフです。日本では長年「口笛のメロディ」と誤認されることも少なくありませんでしたが、実際のレコーディングで用いられた楽器はピッコロ(小型のフルート)です。
スタジオミュージシャンのジェリー・ドジャン(Gerry Dodgion)らが奏でるピッコロの鋭くも愛らしい音色が、重厚なブラスセクションや華やかなストリングスと絶妙なコントラストを生み出しました。当時、シンセサイザーなどの電子楽器が台頭しつつあったディスコシーンにおいて、マッコイはクラシックやイージーリスニングの手法を取り入れた生オーケストレーションに徹底してこだわりました。
この洗練された生楽器のアンサンブルこそが、単なる一過性の流行歌にとどまらず、世代を超えて聴き継がれるエバーグリーンな魅力を生み出す原動力となっています。