高級食パン大量閉店の裏側と仕掛け人が明かす次代の生存戦略
では、現場の最前線にいた当事者たちはこの急激な変化をどう捉えていたのか。ブームの仕掛け人たちが口を揃えるのは、「単一商品(シングルSKU)依存モデルの限界」と「出店密度の過密化」だ。数年前のように、看板メニューの食パン1種類だけで月商数百万円を維持できるフェーズは完全に過去のものとなった。
現在も生き残っている繁盛店を丹念に取材すると、明確な共通項が見えてくる。彼らは早い段階で「高級食パン専門店」という狭い檻から脱出し、地域密着型の総合ベーカリーへと舵を切っていた。朝食用のハード系食事パン、昼休みに買える惣菜パン、子どもが喜ぶ菓子パンへとラインナップを広げ、来店頻度そのものを引き上げる施策を打っている。奇抜な店名による一発の認知度にあぐらをかかず、リピート率を高める実直な商品力磨きへと回帰した店だけが、淘汰の波を乗り越えたのだ。