世界を熱狂させた「蒸気」の衝撃から20年――ルフィの変革点「ギア セカンド」が現代の映像エンターテインメントに遺したもの
近年、アスリートのパフォーマンス向上や運動生理学の分野でも、ポップカルチャーにおける「身体操作」の例として語られる機会が増えた。もちろん現実の人間が血管をポンプにすることは不可能だが、一瞬で全身の毛細血管を開放し、血流と酸素供給量を爆発的に高めるという発想は、スポーツ医学的な好奇心を刺激してやまない。
極限状態におけるアドレナリンの過剰分泌や、心拍数の急激な上昇がもたらす一瞬の集中状態。そうした人間の身体が秘める潜在能力の極限を「ゴムの体」というSF的嘘で引き出したアイデアは、フィクションと科学の境界線を心地よく揺さぶる魅力に満ちている。