やなせたかしの弟・柳瀬千尋の写真と素顔|戦死の悲劇とアンパンマンの絆

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太平洋戦争の激化に伴い、やなせ兄弟の未来は無慈悲に引き裂かれます。兄の嵩さんは陸軍に召集されて中国戦線へと送られ、野戦重砲兵や暗号班として過酷な戦場を生き延びることになります。一方、京都帝国大学に在学中だった弟の千尋さんは、1943年の学徒出陣によって海軍に入隊しました。

海軍予備学生となった千尋さんは厳しい訓練を受け、海軍少尉(戦死後中尉)として任務に就きます。そして1944年11月、フィリピン防衛戦に向かう途上、台湾沖のバシー海峡付近で乗船していた輸送船が敵潜水艦の魚雷攻撃を受け撃沈。千尋さんは冷たい海の中へと消え、わずか22歳という若さで帰らぬ人となりました。

終戦後、復員したやなせさんを待っていたのは、最愛の弟の戦死を告げる一枚の公報でした。遺骨すら戻らない冷徹な現実を前に、やなせさんは深い絶望と慟哭に打ちひしがれました。「なぜ優秀で将来のあった弟が死に、出来損ないの自分が生き残ってしまったのか」という激しい自責の念(サバイバーズ・ギルト)は、生涯にわたってやなせさんの胸を締め付け続けました。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。