ジブリの立体建造物展を徹底解剖!油屋模型の凄みと図録復刻の全貌

ジブリの立体建造物展を徹底解剖!油屋模型の凄みと図録復刻の全貌にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

本展の完成度を決定づけたのは、監修を務めた建築史家・建築家の藤森照信氏の存在である。宮崎駿監督と長年にわたり親交を結ぶ藤森氏は、ジブリ作品に登場する建造物を「看板建築」「擬洋風建築」「木造トラス構造」「屋上緑化」といった近代建築史の文脈に鮮やかに位置づけた。

宮崎駿監督が描く建築は、一見すると突飛なファンタジーに見えながら、西洋と日本の構法が混淆した独特の「手触り」を持つ。空間社会学の視座から見れば、ジブリ建築の最大の特質は「増改築(ブリコラージュ)の痕跡」にある。油屋もハウルの城もカルチェラタンも、単一の設計思想で一挙に作られた近代合理主義建築ではない。住まい手の都合や歴史の堆積によって継ぎ接ぎされ、歪み、それでもなお倒壊せずに立ち続けている。

心理学的に見れば、この「歪んだ多層性」こそが、鑑賞者に無意識の安心感と懐かしさを抱かせる引き金となっている。機能美を追求した無機質な現代建築とは対極にある、人間の情念や生活の垢が染み付いた空間だからこそ、観る者はスクリーン越しにその建物の匂いや温度までも錯覚するのだ。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

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