羊の王様と呼ばれる決定的な理由とは?メリノとサフォークの真相解説
羊毛の世界でメリノ種が絶対王者であり続ける理由は、繊維の細さと柔らかさにある。一般的な羊毛の太さが約25〜35マイクロメートル(マイクロン)であるのに対し、メリノウールは平均13〜19マイクロン前後と人間の髪の毛(約70〜80マイクロン)の数分の一しかない。この極細繊維が、ウール特有の「チクチク感」を解消し、カシミヤにも匹敵する極上の肌触りを生み出している。
メリノ種の歴史は波乱に満ちている。原産地とされる中世スペインでは、そのあまりの品質の高さから国家機密および王室の独占財産として厳重に管理されていた。メリノ羊を国外へ不正に持ち出した者は死刑に処されたほどで、まさに名実ともに「王室の羊」だったのだ。
18世紀後半以降に門外不出の禁が解かれ、オーストラリアやニュージーランドへと渡ったメリノ種は、広大な大地でさらなる品種改良を遂げた。現代では優れた吸湿発熱性や天然の抗菌防臭性を兼ね備えた高機能天然素材として、高級スーツ地から過酷な環境に挑むアウトドアウェアまで、世界中で最高峰の評価を維持している。