栄光の陰で馬肉になった名馬たち|殺処分の歴史と引退馬支援の現在地

栄光の陰で馬肉になった名馬たち|殺処分の歴史と引退馬支援の現在地の注目されている理由をコンパクトにまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

詳細を見る

引退馬の殺処分理由の根本には、極めてシビアな維持費の問題が存在します。サラブレッドの寿命はおよそ25歳から30歳に達します。競走馬を引退する平均年齢が4〜6歳前後であることを考えると、引退後の「余生」は20年近く続く計算になります。引退馬1頭を養老牧場などで適切に繋養・管理する場合、飼料代、獣医療費、削蹄費、施設維持費を含めて毎月10万〜20万円(年間120万〜250万円以上)のコストが恒常的に発生します。

日本国内では毎年およそ7,000頭前後のサラブレッドが誕生し、同等の頭数が毎年競馬場を去っていきます。引退後に種牡馬や繁殖牝馬として繁殖入りできるのは全体のわずか1割未満に過ぎません。残る9割以上の引退馬をすべて民間馬主や牧場が私費で終生飼育し続けることは、経済合理性の観点から事実上不可能です。

競走馬の肥育場における実態として、用途を失った馬たちは家畜商を通じて取引され、一部は食肉用やペットフード用として出荷されていきます。馬肉の流通において、市場の主流を占めるのは食用として専門に育てられた大型の「重種馬(ばん馬など)」ですが、軽種馬であるサラブレッドも加工肉等の原料として流通してきた経緯があります。競馬が「経済動物を用いたスポーツ」である以上、利益を生み出さなくなった個体の維持コストを誰が負担するのかという問題は、常に殺処分と隣り合わせの構造を生み出してきました。

森 瞳

森 瞳

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。