中指を立てる意味と古代ローマの起源|海外で逮捕される危険性と侮辱の真相
「中指を立てるポーズは、英仏百年戦争(1415年のアジャンクールの戦い)でフランス軍に弓を引く指を切断されなかったイギリス弓兵が挑発のために見せたのが始まり」という説がネット上で広く流布していますが、これは1970年代以降に作られた完全な歴史的俗説(都市伝説)であることが歴史学の研究で証明されています。
実際の起源は、それよりも遥か昔の古代ギリシャ・古代ローマ時代にまで遡ります。
古代ギリシャの喜劇と古代ローマの文献記録
文献上、中指を使った侮辱が初めて確認できるのは、紀元前423年に古代ギリシャの喜劇作家アリストパネスが著した戯曲『雲』です。作中で登場人物が男根を模して中指を突き出す場面が描かれており、当時から男性器のシンボルとして嘲笑や侮辱に使われていました。
さらに古代ローマ帝国に入ると、この指はラテン語で「デギトゥス・インプディクス(digitus impudicus=恥知らずな指、淫らな指)」と呼ばれるようになります。古代ローマの歴史家スエトニウスの記録によると、悪名高い暴君カリグラ帝は、臣下に忠誠のキスをさせる際、手ではなく中指を卑猥に突き出して精神的な屈辱を与えたと伝えられています。また、中指には邪視(悪魔の視線)を払う呪術的な意味合いもあり、下品さと魔除けの二面性を持ちながら地中海全域に定着していきました。
この古代の風習がヨーロッパ社会の地下水脈として受け継がれ、19世紀末にイタリア系移民らを通じてアメリカへ渡り、映画や大衆文化の普及とともに世界中へ拡散されたのが歴史の真実です。