じゃがいもを水にさらす理由と時間の正解|さらさない料理の判断基準
料理本やレシピサイトで必ずと言っていいほど見かける下処理ですが、なぜ水にさらす必要があるのでしょうか。調理科学の観点から分析すると、大きく分けて3つの明確な化学的理由が存在します。
第1の理由は、「表面の余分なでんぷんの除去」です。じゃがいもを包丁で切ると、細胞壁が破壊され、中からでんぷん粒子が表面に染み出して白く濁ります。この遊離したでんぷんが残ったまま加熱調理を行うと、熱によって糊化(α化)し、食材同士がくっついたり、焦げ付きやすくなったり、油を過剰に吸ってベチャベチャした重い食感になってしまいます。水で洗い流すことで、表面をコーティングしている粘り気を取り除き、加熱時のべたつきを完全に防ぐことができます。
第2の理由は、「チロシナーゼによる酸化と変色の防止」です。じゃがいもに含まれるアミノ酸の一種「チロシン」は、空気に触れると酸化酵素「チロシナーゼ」の働きによってメラニン色素を生成し、黒や褐色に変色します。切った直後に水へ浸けることで酸素を遮断し、酵素の働きを鈍らせて切り口の美しい黄金色や白さを保つことができます。
第3の理由は、「えぐみ成分(アク)の除去」です。じゃがいもには微量のポリフェノール類が含まれており、これらが特有のえぐみや渋みの原因になります。水にさらしてアク抜きを行うことで、舌触りがクリアになり、調味料の味がストレートに染み渡るようになります。