衆議院解散でなぜ万歳?議員失職なのに叫ぶ決定的な理由と起源

衆議院解散でなぜ万歳?議員失職なのに叫ぶ決定的な理由と起源について見逃せない 事実を厳選して解説いたします。

衆議院解散のセレモニーには、一般のニュース報道では深く触れられない独特の作法やハプニングの歴史が存在します。その最たるものが、解散を伝える「紫の袱紗(ふくさ)」と、議員たちが前のめりになりすぎて起きる「フライング万歳」です。

本会議の最中、議事堂の扉が静かに開き、官房長官から衆議院事務総長を経て議長のもとへ紫色の絹の袱紗に包まれた木箱が運ばれます。この中に入っているものこそが、天皇陛下の署名(御名御璽)が押された「解散詔書」です。袱紗の色が紫である理由は、古来より日本で最も高貴な色とされ、宮中儀礼において最高級の格式を示すためです。この紫の袱紗が議長席に持ち込まれた瞬間、議場内には「いよいよ来たぞ」という重苦しい緊張感が走ります。

そして、しばしばメディアを賑わせるのが「フライング万歳事件」です。議長が「日本国憲法第七条により、衆議院を解散する」と読み終える前に、高ぶる興奮を抑えきれなくなった議員が途中で「万歳!」と叫んでしまう珍事です。

代表的な事例として語り継がれているのが、2014年(平成26年)11月21日のアベノミクス解散です。当時の伊吹文明衆議院議長が「日本国憲法第七条により、衆議院を解散……」と口にした途端、議場からフライングの万歳が沸き起こりました。伊吹議長は即座に手を挙げて議場を制止し、「万歳は後でいいから静かに聞きなさい!」と厳しく一喝。議場を静寂に戻した上で、最後まできちんと詔書を朗読してから万歳を促しました。この毅然とした対応は、議会の品格を守った名場面として今なお語り継がれています。

また、ネット上では「万歳は首相や与党に対する万歳だ」と誤解されるケースが多々ありますが、公式の議事解釈としては前述の通り「解散を命じた天皇の詔勅に対する万歳」であり、行政権の長である首相個人に向けられたものではありません。この憲法上の形式と議員個々の政治的思惑のズレが、儀礼の解釈をより複雑にしています。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。