ストーンサークルなぜ作られた?墓地説や天体観測の真相に迫る

ストーンサークルなぜ作られた?墓地説や天体観測の真相に迫るの基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でまとめました。

ストーンサークルは何のために作られたのか。考古学界において半世紀以上にわたり繰り広げられてきた最大の論争が、「環状列石 墓地説」と「ストーンサークル 天体観測説」の対立です。かつては研究者の間でも意見が二分されていましたが、近年の発掘調査と学際的研究により、現在では「両方の機能を兼ね備えた複合的な聖域空間」という明確な結論が導き出されています。

決定的な証拠となったのは、配石の下部から発見された遺構の分析です。秋田県鹿角市に位置する大湯環状列石や青森市の小牧野遺跡では、環状に配置された石組みの直下から、長方形に掘り下げられた「土坑(どこう)」が多数確認されました。土壌の酸性度が高いため人骨そのものは融解しているケースが多いものの、リン酸塩や脂肪酸の分析、さらには土坑の形状から、これらが紛れもない土葬墓(配石墓)であることが証明されています。環状列石の中心や周囲は、まず何よりも集落の先祖たちが眠る神聖な共同墓地でした。

では、天体観測説は単なる俗説だったのでしょうか。答えは明確に「否」です。現地に立つと一目瞭然ですが、例えば大湯環状列石の万座・野中堂両環状列石に存在する「日時計状組石」の中心石と、周囲の特徴的な配石を結ぶラインは、夏至の日の入り、冬至の日の出の方向と寸分の狂いもなく一致します。英国のストーンヘンジにおいても、ヒールストーンと中心軸が夏至の日の出の軸線上に設計されている事実は広く知られています。

狩猟採集や初期農耕によって命をつないでいた古代人にとって、季節の移り変わりを正確に把握することは生存に直結する死活問題でした。動植物の生態系が激変する節目を特定するための「太陽暦(カレンダー)」として環状列石を機能させつつ、その最も重要な天文学的転換点(至点・分点)に先祖への祈りを捧げ、集落全体の再生を願う儀礼を執り行っていたのです。死者の眠る場所で季節の巡りを観測し、命の循環を祈る——これこそが、世界各地のストーンサークルに共通する建造の根本的理由です。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。