インフルエンザにかからない人の正体!感染しない理由と最新医学
SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「人生で一度もインフルエンザにかかったことがない」「予防接種を一度も打っていないのに毎年無事」と語る「インフルエンザに一生かからない人」の体験談が定期的に話題を集めます。果たして、医学的にインフルエンザを完全に寄せ付けない無敵の体質は実在するのでしょうか。
ゲノム解析研究の進展により、インフルエンザにかかりにくい体質と遺伝の深い相関が解明されつつあります。代表例が、抗ウイルス作用を持つタンパク質をコードする「IFITM3(インターフェロン誘導性膜貫通タンパク質3)遺伝子」の多型です。IFITM3が正常かつ強力に発現する遺伝子型を持つ人は、細胞膜でのウイルス侵入防御が非常に強固であり、重症化はおろか発症そのものを抑え込みやすいことが分かっています。一方で、この遺伝子に変異がある人は、ウイルスが細胞内に容易に侵入し、重症化リスクが跳ね上がることが確認されています。
また、過去の感染履歴によって形成された「細胞性免疫のメモリー」も極めて重要です。小児期や青年期に多様な型のインフルエンザウイルスに晒されてきた人は、ウイルスの表面抗原(HAやNA)が変異しても、内部構造の共通部分を認識するキラーT細胞を保持している割合が高くなります。血清抗体検査で特定の株に対する抗体価が低くても、細胞性免疫が即座に起動してウイルス増殖の芽を摘むため、結果として生涯発症しないように見えるのです。つまり、「一生かからない体質」とはウイルスを完全に弾き返すスーパーマンではなく、遺伝的素因と過去の免疫記憶が組み合わさった「極めて効率的なウイルス処理能力の持ち主」といえます。