「マブイ」の2つの意味とは?昭和スラングと沖縄方言の真相を徹底解剖
一方、沖縄県や奄美群島で使われる「マブイ(まぶい)」は、スラングとは一切関係のない伝統的なウチナーグチ(沖縄方言)であり、「人間の魂・霊魂・生命の根源」を意味します。
沖縄の民間信仰において、人間の体内には複数のマブイが宿っており、肉体と魂がしっかりと結びつくことで健康や精神の安定が保たれていると考えられています。しかし、予期せぬ事故、強い恐怖、激しい驚きなどのショックを受けると、魂が肉体から弾き飛ばされてしまう現象が起こると信じられてきました。これを「マブイ落とし(マブイウティ)」と呼びます。
マブイを落とした人間は、極度の無気力状態に陥ったり、原因不明の高熱や体調不良、悪夢にうなされるとされています。そこで行われるのが、落とした魂を肉体に呼び戻して定着させる救済儀式「マブイグミ(魂込め)」です。家族の年長者や地域の女性神職(ノロ)、民間霊媒師(ユタ)が現場に赴き、本人の衣服やお供え物を用いて名前を唱えながら魂を拾い集めます。現代の沖縄でも、子どもが転んで大泣きした際などに母親が「マブヤー、マブヤー、ウーティクーヨー(魂よ、戻っておいで)」と優しく声をかける風習が残っています。