代官山の隠れ名所「旧朝倉家住宅」の魅力と見どころ完全ガイド
ハイブランドのショップやモダンな複合施設が建ち並ぶ代官山にあって、なぜこれほど大規模な大正期の邸宅が手付かずのまま残されているのか。その背景には、かつてこの地の発展に大きく寄与した人物、朝倉虎治郎(あさくら とらじろう)の存在がある。
朝倉虎治郎は、東京府議会議長や渋谷区議会議長などを歴任した実業家であり政治家だ。彼が本邸として大正8年(1919年)に建設したのが、現在の旧朝倉家住宅である。当時、渋谷・代官山周辺はまだのどかな田園風景が広がる郊外住宅地だった。朝倉家は地域の発展を見守りながら、関東大震災や第二次世界大戦の戦災といった激動の時代をくぐり抜けてきた。
戦後は中央官庁の分庁舎として使われていた時期もあったが、保存運動や文化的価値の再評価を経て、平成16年(2004年)に国の重要文化財に指定された。都心の一等地でありながら奇跡的に解体を免れ、建築当初の姿を今に伝えている点こそが、多くの建築ファンや歴史愛好家を惹きつけてやまない最大の理由だ。