ネット社会の暴走か、知る権利か――「元少年A」の現在地と実名拡散が問い直す2026年の倫理
なぜ、これほどまでに時間が経っても特定作業が収まらないのか。理由は単純ではない。一つは、加害者が社会のどこかで「普通に暮らしている」という事実に対する、市民の根強い不安と反発だ。更生プログラムを終えたとはいえ、遺族への謝罪や補償が十分に行われているのかという疑問が、ネット民の「正義感」を刺激し続けている。
さらに、インプレッション(閲覧数)が金銭的価値を生む現代のSNSエコシステムも、この動きを加速させている。注目を集めるためなら、過去の凶悪事件のディテールや真偽不明の個人情報を掘り返すことも厭わない。こうした「PV至上主義」のクリエイターたちにとって、彼は格好のコンテンツなのだ。