工藤静香『慟哭』歌詞の本当の意味とは?中島みゆきが託した心理

工藤静香『慟哭』歌詞の本当の意味とは?中島みゆきが託した心理についての真相をご紹介します。

『慟哭』における最大のミステリーにして美学は、タイトルの意味と作中の状況設定が真っ向から対立している点にある。辞書的な意味での「慟哭」とは、声を上げて激しく泣き悲しむこと。しかし、中島みゆきが紡いだ歌詞の中で、主人公の女性は意中の男性から別の女性への恋心を打ち明けられた瞬間、「笑っていたのよ」と平静を装ってしまう。

「友達」という最も近くて遠い安全地帯に身を置き続けてしまったがゆえに、目の前で失恋の決定打を浴びても、彼女には取り乱して泣き叫ぶ権利すら与えられていない。もしそこで声を上げて泣いてしまえば、これまで築き上げた「良き理解者としての自分」すら崩壊してしまうからだ。すなわち、タイトルの「慟哭」とは、実際に放たれた涙の叫びではなく、胸の奥底で張り裂けんばかりに渦巻きながらも、永遠に表出されることのない「魂の絶叫」を意味している。中島みゆきは、最も激しい感情をあえて沈黙と空元気の仮面の下に封じ込めることで、失恋の苦しみを極限まで濃縮させたのである。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。