名優・矢崎滋はなぜ姿を消した?都はるみと送る知られざる隠遁生活
引き際があまりにも潔かった。多くのベテラン俳優が生涯現役を掲げるなか、矢崎滋は自ら静かに幕を引いた。引退会見を開くこともなく、特別なセレモニーも求めない。その引き際の鮮やかさは、どこか彼が演じてきた潔い武士の姿とも重なる。
関係者の話を総合すると、台詞覚えの衰えや自らが納得できるクオリティを維持できなくなる前に身を引くという、プロとしての強い美学があったという。晩節を汚さず、最高の状態の記憶を観客に残したまま去る。それは演劇人としての誇り高きプライドの表れだった。
名声を追わず、過去の栄光にすがることもない。自らの意思で人生のハンドルを握り直した彼の選択は、セカンドライフを模索する現代のシニア世代にとってもひとつの理想形として映る。