名作『僕はラジオ』モデルが遺した愛と今明かされる奇跡の真実
映画の主人公「ラジオ」ことジェームズ・ロバート・ケネディ氏。彼が手にしたトランジスタラジオは、言葉をうまく紡げない彼にとって外界とつながる唯一の命綱であり、世界の音を聴くためのアンテナだった。しかし、映画で描かれたエピソードは彼の長く豊かな人生のほんの序章に過ぎない。
1946年に生まれたケネディ氏は、知的障害を抱えながらも、サウスカロライナ州アンダーソンのT.L.ハンナ高校で半世紀以上にわたりフットボールチームの象徴であり続けた。映画では数年間の出来事として凝縮されているが、現実の彼は高校に「永遠の生徒」として在籍し続け、名誉卒業証書を受け取った後も毎日グラウンドへ立ち続けた。練習用のホイッスルを首から下げ、メガホンを片手にサイドラインを駆け回る姿は、町全体の誇りとなっていたのだ。
2019年12月、73歳で惜しまれつつこの世を去った際、追悼式には数千人の市民や歴代の卒業生が詰めかけた。映画が描いた「救済」は一方通行ではなかった。助けられたのはラジオ青年ではなく、彼の無垢な笑顔と純粋な心によって、頑なな心を溶かされた町の人々の方だったという厳然たる事実が、彼の生涯を通じて証明されている。