香西かおり『流恋草』の深層|名曲の誕生秘話と愛され続ける真実
『流恋草』という楽曲を巡っては、インターネットやファンの間で時に誤った言説が見受けられます。長年のファクトチェックから得られた真実を整理しておきましょう。
もっとも頻繁に見られる誤解が、「流恋草は実在する高山植物や山野草の別名である」という言説です。前述の通り、これは里村龍一が創出した完全な文学的虚構です。実在しない植物だからこそ、聴く人それぞれが自分だけの「心に咲く花」をイメージすることが可能となり、楽曲の抽象性と普遍性が高められています。
また、「この曲は典型的な昭和のド演歌であり、古い形式美に過ぎない」という見方も明確な誤りです。編曲を担当した馬場良のスコアを分析すると、ストリングスとアコースティック楽器の配置は非常に洗練されており、当時のニューミュージックや歌謡曲のエッセンスが絶妙にブレンドされています。単なる泥臭い演歌ではなく、都市型の哀愁を帯びたモダンなサウンドアレンジが施されているからこそ、令和の時代にも色褪せない響きを保っているのです。