ポアレとは?ソテーやムニエルとの違いと皮目をパリッと焼く極意

ポアレとは?ソテーやムニエルとの違いと皮目をパリッと焼く極意について知っておくべき 注意点を厳選して解説いたします。

フランス料理の献立表で頻潔に見かけるポアレ(フランス語:poêlé / 動詞は poêler)は、現代の調理現場において「フライパンで少量の油を用い、素材の皮目を香ばしく焼き上げつつ、内部をしっとりとミディアム状に仕上げる技術」を指します。とりわけ真鯛やスズキといった白身魚料理の主役となる調理法です。

興味深いことに、古典フレンチの体系においてポワレの意味はまったく異なるものでした。20世紀初頭に「近代フランス料理の父」と称されたオーギュスト・エスコフィエの料理書を紐解くと、ポワレとは専用の蓋付き深鍋(ポワル:poêle)に香味野菜、フォン(出汁)、バターを入れ、密閉状態にしてオーブンで蒸し焼きにする技法を指していました。つまり、かつてのポワレは「蒸し煮(ブレゼ)」に近い加熱法だったのです。

これが1970年代に起きた料理革命「ヌーヴェル・キュイジーヌ(新しい料理)」の波によって、重厚なソースや過度な煮込みが見直され、素材の鮮度と軽やかさを引き出す調理法へと急速にシフトしました。フライパンの進化とともに、鍋底で皮をカリッと焼き、溶け出た脂をスプーンですくって身の上に回しかける現在のスタイルが確立され、定着していったという歴史的背景があります。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。