イヤミスの金字塔『向日葵の咲かない夏』狂気の結末と裏設定を解剖
単なるホラーや怪談の枠に収まらないのが本作の恐ろしいところだ。心理サスペンスとしての緊張感を途切れさせずに保ちながら、叙述トリックの精緻な構成によってミステリーとしての美しさも兼ね備えている。
本格ミステリ大賞の候補に挙がった際も、その過激な内容と圧倒的な構成力が高く評価された。一癖も二癖もある登場人物たちが織りなす不気味な会話劇と、着実に詰んでいく詰将棋のような展開。読者は知らず知らずのうちに、語り手の異常な視点と同化させられていくのだ。