時代を超えて響く平和の祈り——一青窈『ハナミズキ』が2026年の今、再び私たちの心を揺さぶる理由
この歌が単なるラブソングではないことを知る人は、いまや少なくないかもしれない。誕生のきっかけは、2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件だった。ニューヨークにいた友人から届いた一通の手紙。その緊迫した便りを受け取った一青窈が、恐怖と混乱の中で平和への祈りを込めて一気に書き上げたのが『ハナミズキ』の原点である。
当時は復讐の連鎖が世界を覆い尽くそうとしていた時期だ。憎しみが新たな憎しみを生む負のループに対し、彼女が突きつけたのは「他者の幸せを心から願う」という無償の愛だった。テロへの怒りでもなく、政治的な主張でもない。ただ目の前にいる大切な人と、その人が愛する誰かの未来が平穏であってほしいという、極めて純粋で普遍的な願いがそこには込められていた。