昭和から平成へ!1989年ヒット曲の真相と激変の音楽史総まとめ
1989年オリコン年間シングルランキングの頂点に君臨したのは、プリンセス プリンセスの7thシングル「Diamonds(ダイアモンド)」であった。さらに同バンドが1987年にリリースしていた「世界でいちばん熱い夏」のCD再発盤が年間2位に食い込み、チャートの頂点を完全に独占した。この現象の背景には、高度消費社会を迎えた当時の若者、とりわけ女性層のメンタリティの変化が克明に投影されている。
ボーカルの奥居香(現・岸谷香)が作曲し、ベーシストの今野登茂子が詞を手がけた「Diamonds」は、当時のソニー「カセットテープ HF」のCMソングに起用された。当時の音楽業界関係者の手記やインタビューによると、メンバー自身が「売れるための公式」に縛られず、等身大の友情と日常のきらめきをストレートな8ビートに乗せて鳴らしたことが、同世代の圧倒的支持を集めた要因とされる。昭和の歌謡曲に多かった「男に尽くし、別れに涙する悲劇のヒロイン」という女性像から脱却し、自らの手で楽しさを選び取る自立した女性像のアンセムとなったのだ。
また、1989年2月にはTBSの深夜番組『平成名物TV』内で『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称・イカ天)の放送がスタート。FLYING KIDS、BEGIN、たま、BLANKEY JET CITYといった個性溢れるインディーズバンドが次々と発掘され、全国的なアマチュアバンドブームが巻き起こった。プリンセス プリンセスのミリオンセラー達成とイカ天現象は共鳴し、「楽器を持って自分たちの言葉で歌う」というバンドカルチャーが、アンダーグラウンドから日本のメインストリームへと一気に躍り出た。