なぜ広島の手芸店に人が殺到?デジタル疲れを癒やす「手仕事回帰」の真相
いま、手芸ファンの間で最も勢いのあるテーマのひとつが「アップサイクル」だ。新品の布地を何メートルも買って服を仕立てるだけでなく、タンスに眠っていた古着を解体し、端切れを繋ぎ合わせて新たなバッグやキルトへと生まれ変わらせる試みが急速に広がっている。
広島の店舗でも、アパレル縫製工場から出るハギレや、廃棄予定だったデニムの耳、古い着物の帯などを集めた特設コーナーが目立つようになった。完璧に整った工業製品よりも、どこか不揃いで生活の痕跡が残る素材こそが、クリエイティブな表現として評価される時代。物を捨てずに愛着を持って使い切るという感覚は、平和都市・広島が長年培ってきた「物を慈しむ心」とも深く共鳴している。
「祖母の羽織をほどいて、裏地をサコッシュに仕立て直したんです」。誇らしげに作品を見せてくれた女性の表情には、既製品を買ったときには決して味わえない、確固たる誇りが満ちていた。