肺水腫と胸水の違いとは?命に関わる危険性と原因を徹底比較
「肺に水が溜まる」という現象を正確に理解するためには、まず肺胞と胸膜腔という解剖学的な位置関係の違いを押さえる必要があります。
肺水腫は、空気を取り込んで酸素と二酸化炭素を交換する「肺胞(はいほう)」そのものや、その周辺組織に水分(血液の血清成分)が染み出してしまう状態です。例えるなら、「水を含んでぐっしょりと重くなったスポンジ」のような状態であり、取り込んだ空気が水に遮られて血液中に酸素を送れなくなります。体内で溺れているような状態に陥るため、呼吸困難が急激に進行します。
これに対し、胸水は肺そのものではなく、肺を包む2層の胸膜の間にある「胸膜腔(きょうまくくう)」に水が異常に溜まる病態です。本来、呼吸時に肺がスムーズに伸縮できるよう数十ミリリットルの潤滑油(胸水)が存在しますが、これが数百ミリリットルから数リットル規模で過剰に溜まります。例えるなら、「肺の外側に水風船ができて、外から肺を強く押しつぶしている」状態です。圧迫された肺が膨らまなくなることで、息切れが生じます。