古文「もの申しさぶらはむ」の意味と品詞分解|敬意の方向を徹底解説
高校古典の定期テストや大学入学共通テストの記述問題で配点が高く、最も失点しやすいのが「敬意の方向」を問う設問です。「もの申しさぶらはむ」には敬語が2重に組み込まれているため、それぞれの役割を整理しておかなければ混乱を招きます。
1. 「申す」による謙譲の敬意
動詞「申す」は「言ふ」の謙譲語です。謙譲語は「動作をする側」をへりくだらせることで、その動作を受ける「相手(客体)」を高める働きを持ちます。この場面での動作主は発話者(僧)であり、話しかけられる客体は「児(聞き手)」です。そのため、敬意の方向は「発話者(僧)から聞き手(児)」となります。
2. 「さぶらふ」による丁寧の敬意
動詞の連用形に接続する「さぶらふ」は補助動詞として機能し、「〜です・〜ます・〜でございます」という丁寧の意味を添えます。丁寧語は話している相手そのものに対して礼儀正しく接する表現であるため、敬意の方向は常に「発話者から直接の聞き手(読者)」へ向けられます。
結果として、謙譲語「申し」と丁寧語「さぶらふ」の双方が、いずれも「話を聞いている相手」に対する敬意を示しています。1つのフレーズの中で敬意が二重に重なり、相手に対する最大限の敬意と丁寧な姿勢を表現している点が、この言いまわしの真骨頂です。