蔑称からエンパワメントの象徴へ――2026年、女性たちが「ババア」という呪縛を書き換える
英語圏における「クィア(Queer)」や「ビッチ(Bitch)」のように、被差別側が差別語を奪い返し、誇りの象徴へと転換するリクレイミング(再領有)の動きが日本語圏でも本格化している。自らをあえて過激な呼称で名乗り、既存の規範を揺さぶる実践だ。
もっとも、この試みには常に両義性がつきまとう。自称として使う分には解放の契機になり得ても、他者から投げつけられた際の毒性が完全に消えるわけではない。痛みを伴う歴史を持つ言葉だからこそ、軽々しい消費を許さない緊張感が保たれている。言葉の角を丸めて毒抜きをするのではなく、その棘を持ったまま権力関係をひっくり返す。知性的な摩擦を恐れない議論が、言論空間を刺激し続けている。