なぜ物が捨てられないのか?心理と病気の境界線と劇的に片付く脱出術

なぜ物が捨てられないのか?心理と病気の境界線と劇的に片付く脱出術の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

単なる生活習慣の乱れにとどまらず、精神医学的な支援が必要な領域も存在します。部屋が足の踏み場もない状態に陥っている場合、背景に捨てられない病気の可能性が隠れているケースを排除できません。

代表的な疾患が、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)にも独立した疾患として記載されている「ためこみ症(Hoarding Disorder)」です。ためこみ症の診断基準の主軸は、「実際の価値に関わらず物を手放すことに持続的な困難を感じる」「手放すことに対して著しい苦痛が伴う」「居住空間が物で埋め尽くされ、本来の用途(就寝・調理など)で機能しなくなっている」という点にあります。本人が病気だと認識していない(病識が乏しい)ケースが多いのも特徴です。

さらに、近年注目を集めているのが発達障害やADHDの特性との関連です。ADHD(注意欠如・多動症)を抱える人は、脳の前頭葉が司る「実行機能(順序立てて物事を進める、集中を維持する、ワーキングメモリで短期記憶を保持する)」に困難を抱えやすい特性があります。片付けを始めても、途中で見つけた懐かしい手紙に気を取られて作業が中断したり、物の定位置を決めても戻すことが習慣化しにくかったりします。

また、高齢期においては認知症の初期症状や、意欲低下から身の回りの世話を放棄するセルフネグレクトの兆候としてゴミの蓄積が現れることも多く、命に関わる火災や孤独死のリスクと直結しています。

分類・原因主な行動特性・心理背景典型的な状態・基準推奨されるアプローチ環境・心理的要因
(軽度〜中度)もったいない精神、多忙による疲弊、衝動買い、孤独感の代償収納から物が溢れるが、来客時には隠せるレベルルール化(1日1捨て)、寄付や買取サービスの活用ADHD・神経発達症
(先天的な脳特性)段取りを組むのが苦手、注意散漫、見えない物は忘れる脱いだ服や郵便物が床に散乱。片付け中に別作業へ移るオープン収納の導入、第三者(コーチ・支援者)の同席ためこみ症
(精神医学的疾患)価値に関係なく処分に強い苦痛を感じる、病識の欠如通路が塞がり、台所や浴槽が使えない。DSM-5基準合致心療内科・精神科の受診、専門カウンセリング、福祉連携認知症・老年期機能低下
(セルフネグレクト)判断力・記憶力の著しい低下、衛生観念の麻痺、気力衰退悪臭、腐敗した食品の放置、害虫発生、近隣トラブル地域包括支援センターへの相談、行政・介護サービスの介入
山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。