欧州を中心に世界へ波及する反イスラムの真相と深層の構造的課題
事態の本質を理解するには、政策的・社会構造的な歪みに目を向ける必要がある。欧州連合の各国が長年推進してきた欧州移民政策は、経済成長を支える労働力の確保という側面を持ちながらも、現場における統合プロセスの設計においては多くの欠陥を抱えていた。住宅難や教育格差、労働市場での孤立が積み重なり、社会の分断を加速させたのだ。
こうした構造的摩擦は、人々の間に偏見や恐怖心を植え付ける地盤となり、結果としてイスラムフォビアと呼ばれる嫌悪感情の拡大を招いた。根深い偏見は、単に個人の心理的拒絶にとどまらず、雇用や住居の確保といった機会の不平等として固定化する。社会的な包摂がうまくいかない現実が不信感を深め、それがさらなる政治的対立を呼ぶという悪循環が断ち切れていない。