「5万回斬られた男」福本清三が残した殺陣の真髄と名作の裏側
15歳で東映京都撮影所の大部屋俳優としてキャリアをスタートさせた福本は、来る日も来る日も刀を振るい、斬られ続ける日常に身を置いた。当時の東映は時代劇の全盛期。過酷な現場で揉まれる中、彼が生み出したのが代名詞とも言える「海老反り」の死に様だ。
斬られた衝撃で顔を正面(カメラ)に向けたまま、体を大きく後ろへ海老反らせて倒れるこの技法は、観客に切断のリアルなインパクトを与えると同時に、斬られた役の最期の表情を鮮明に焼き付ける効果を持っていた。全身に打撲や骨折の絶えない激しいアクションを何十年と重ねながら、京都の現場で愚直に技を磨き続けた職人魂は、東映時代劇のクオリティを底上げする不可欠なピースであった。