なぜ鳩とオリーブは平和の象徴なのか?聖書とピカソが紡いだ真相

なぜ鳩とオリーブは平和の象徴なのか?聖書とピカソが紡いだ真相の重要なポイントについて、専門知識を取りまとめてご紹介します。

グラフィックデザインとして最も普及している「ピースマーク(☮)」は、宗教的由来ではなく、極めて実務的かつ論理的なプロセスで考案されました。

誕生したのは1958年2月21日。英国の核兵器廃絶運動組織「CND(Campaign for Nuclear Disarmament)」がロンドンからオルダーマストンの核兵器研究所へ向けて実施した大規模抗議行進のために、商業デザイナーのジェラルド・ホルトムがデザインしました。

ホルトムはこのマークの骨格として、船舶等で用いられる「セマフォ手旗信号」を採用しました。具体的には以下の2文字を重ね合わせたものです。

  • 「N」の文字:両腕を斜め下45度に下げる姿勢(Nuclearの頭文字)
  • 「D」の文字:一方の腕を真上、もう一方の腕を真下に伸ばす姿勢(Disarmament=軍縮の頭文字)

この二つの手旗ポーズを一つの円の中に統合することで、「核軍縮(Nuclear Disarmament)」のメッセージが完成しました。ホルトム本人は後年の手記において、「絶望して両手を下に広げた人間の姿であり、ゴヤの絵画『1808年5月3日』の銃殺隊の前に立つ農民のポーズにも通じている」と告白しています。このマークは著作権が主張されずフリーで使用が認められたため、1960年代のアメリカにおけるベトナム反戦運動やヒッピーカルチャーを通じて全世界へと爆発的に拡散しました。

また、国際連合(UN)の公式エンブレムも象徴的な構造を持っています。北極点を中心とした世界地図を、左右から「オリーブの小枝」が包み込むデザインです。1946年の第1回国連総会で正式採択されたこの意匠は、「国連憲章に基づく加盟国の総意として、地球全体を安全保障と平和の枠組みで包摂する」という強い国際協調の意志を視覚化したものです。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。