鋼の錬金術師の名言が心に刺さる理由とは?胸を打つ名セリフ徹底解説
『鋼の錬金術師』の凄みは、敵対するホムンクルス(人造人間)たちにも圧倒的な信念と美学が与えられている点にあります。単なる「討伐されるべき悪」ではなく、人間という存在の愚かさと尊さを浮き彫りにする鏡として描かれています。
強欲を司るグリードが放った「ありえないなんて事はありえない」という言葉は、常識や先入観に縛られた思考を打ち砕く名フレーズとして愛されています。すべてを欲しがるがゆえに仲間をも自分の所有物として命懸けで守り抜いた彼の生き様は、人間の欲望の本質が決して醜いものばかりではないことを証明しました。
また、冷酷無比な独裁者として君臨したキング・ブラッドレイ(憤怒のラース)の最期も見逃せません。致命傷を負い、死に際に妻への遺言を問われた際、彼はこう言い切ります。
「私の伴侶は私が選んだ。私とあいつの間に遺言など要らん。王の伴侶とはそういうものだ」
作られた人生を歩まされたホムンクルスの中で、唯一自らの意志で選んだ妻への絶対的な信頼。神や運命を一切介さず、一人の男として人生を全うしたブラッドレイの矜持は、敵役でありながら読者に強烈な畏敬の念を抱かせました。