赤と緑を混ぜると何色?絵の具と光で結果が激変する科学的真相
美術やデザインの教科書に必ず登場する「色相環(Color Wheel)」を見ると、赤と緑は円のちょうど正反対(180度対向)に位置しています。この向かい合う2色を「補色の関係」と呼びます。
色彩理論上、補色同士を並べて配置するとお互いの彩度を引き立て合う「補色対比(ハレーション効果)」が起き、非常に目立つ鮮明な配色になります(クリスマスカラーや警告サインなどが代表例です)。しかし、この2色を物理的に混ぜ合わせると、効果は真逆になります。
互いの色相の波長成分を完全に打ち消し合うため、彩度がゼロに向かって急降下します。これが補色同士を混ぜると起きる「無彩色化・濁色化」の正体です。純粋な三原色の理想的な顔料同士であれば理論上「完全な黒(無彩色)」になりますが、市販されている一般的な絵の具の赤や緑には多様な有機・無機顔料や不純物が含まれているため、完全な黒にはならず、やや赤みや黄みを帯びた「茶色」や「焦げ茶色」に落ち着くのです。
実務における絵の具の混色表と作り方の応用として、「チューブの茶色(バーントアンバー等)を直接塗ると画面が平板になる」という問題があります。あえて赤(カドミウムレッドなど)と緑(ビリジアンなど)を作画上で混色して茶色を作ることで、わずかな筆ムラの中に複雑なニュアンスが生まれ、重厚で深みのある絵画表現が可能になります。