猫の血液型にO型がない理由とは?検査費用や輸血リスクを徹底解説
人間の血液型といえば「ABO式」が広く知られていますが、猫の血液型分類は「ABシステム(AB式血液型)」と呼ばれ、存在する型はA型・B型・AB型の3種類のみです。人間でいう「O型」に相当する型は、猫には遺伝学上存在しません。
この違いを生み出しているのは、赤血球の表面に存在する糖鎖(シアル酸)の構造と、それを変換する酵素を司る「CMAH遺伝子」の働きです。
獣医遺伝学の解明によると、猫の赤血球表面にはシアル酸の一種である「NeuAc(N-アセチルノイラミン酸)」または「NeuGc(N-グリコリルノイラミン酸)」が結合しています。CMAH遺伝子が正常に機能している猫は、NeuAcをNeuGcへ変換できるため、赤血球表面にNeuGcを持つ「A型」になります。一方、遺伝子変異によってこの酵素活性が完全に失われた猫は、NeuAcしか持てず「B型」となります。そして、両方の糖鎖を併せ持つ極めて珍しいタイプが「AB型」です。
人間のO型は赤血球表面に特定の抗原を持たない(ゼロである)状態を指しますが、猫の場合は必ずNeuAcかNeuGc、あるいはその両方が発現するため、「抗原を持たないO型」という選択肢そのものが生物学的に成り立ちません。
遺伝の優劣関係においては、A型遺伝子が最も優性(A > aab > b)です。両親からA型遺伝子を1つでも受け継げばその個体はA型になり、B型になるためには両親の双方から劣性であるB型遺伝子(b)を受け継ぐ必要があります。この遺伝の仕組みが、全体の血液型分布に大きな偏りを生み出す根本的な要因となっています。