和積の公式は導出が最強!加法定理から10秒で復元する解法手順
試験本番で度忘れしたとしても、慌てる必要はまったくありません。数学IIで習う「三角関数の加法定理」さえ知っていれば、和積の公式は誰でもその場で10秒から15秒程度で確実に再現できます。この「和積の公式の作り方」を根本から理解しておきましょう。
導出の出発点は、すべての三角関数公式の母体である加法定理の4基本式です。
① $\sin(\alpha + \beta) = \sin\alpha \cos\beta + \cos\alpha \sin\beta$
② $\sin(\alpha - \beta) = \sin\alpha \cos\beta - \cos\alpha \sin\beta$
③ $\cos(\alpha + \beta) = \cos\alpha \cos\beta - \sin\alpha \sin\beta$
④ $\cos(\alpha - \beta) = \cos\alpha \cos\beta + \sin\alpha \sin\beta$
ステップ1:加法定理を足す・引く(積和の公式を経由)
まず、サイン同士を足してみます。式①と式②をそのまま足し算すると、後半の「$\cos\alpha \sin\beta$」が相殺されて消えます。
① + ②:
$\sin(\alpha + \beta) + \sin(\alpha - \beta) = 2\sin\alpha \cos\beta$
両辺を2で割れば、掛け算を足し算に直す「積和の公式」が完成します。しかし、和積の公式を作りたい場合は、両辺を2で割る前のこの形のままキープするのが最大のコツです。
ステップ2:角度を「置き換える」理由を理解する
なぜ公式集に載っている和積の公式は、角度が「$A$」や「$B$」ではなく「$(A+B)/2$」という複雑な分数になっているのでしょうか。ここが多くの学習者がつまずくポイントであり、同時に和積公式における置き換えの理由の核心です。
目的は「$\sin A + \sin B$」という、すっきりとした2つの角の和の形を作ることです。そこで、上の式における複雑な角を次のように文字で置きます。
$\alpha + \beta = A$
$\alpha - \beta = B$
この2つの式を連立方程式として解いてみます。2式を足すと $2\alpha = A + B$ となり、2式を引くと $2\beta = A - B$ となります。つまり、次の関係が必然的に導かれます。
$\alpha = \frac{A + B}{2}$
$\beta = \frac{A - B}{2}$
ステップ3:代入して完成させる
求めた $\alpha$ と $\beta$ を、ステップ1で作った式にそのまま流し込みます。
$\sin A + \sin B = 2\sin\left(\frac{A + B}{2}\right)\cos\left(\frac{A - B}{2}\right)$
これだけで、サインの和を積に変換する公式が完璧に導出できました。コサイン同士の引き算(③−④)を行えば、最も受験生がミスしやすい「$\cos A - \cos B$」の先頭に現れる「$-2$」の符号も、作為的な暗記なしに自然な計算結果として目の前に現れます。この一連の流れを手を動かして2〜3回書いてみるだけで、試験中にいつでも再現できる一生モノの武器に変わります。