無月経でも排卵・妊娠はあり得る?生理が来ない排卵の真相と受診目安
排卵の有無を自己管理するツールとして基礎体温計と市販の排卵日予測検査薬が普及していますが、ここにも重大な盲点が存在します。
基礎体温一相性の原因は、排卵後に形成される黄体からプロゲステロンが分泌されていないことにあります。プロゲステロンには脳の体温調節中枢に働きかけて体温を約0.3〜0.5℃上昇させる働きがあります。もしグラフが何ヶ月も平坦な一相性を示している場合、医学的には無排卵状態が継続していると推測されます。しかし、無月経から突如として排卵が起きたその瞬間、グラフは前触れなく急激な上昇を示し、一相性から二相性へと転換します。体温が上がった段階ではすでに排卵は終了しているため、事後確認にしかならない難しさがあります。
さらに慎重に解釈すべきなのが、排卵検査薬陽性の意味です。市販の検査薬は尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度上昇を検知する仕組みです。しかし、LHサージが起きたからといって、100%確実に卵胞が破裂して卵子が飛び出すとは限りません。卵胞が破裂しないまま黄体化してしまう黄体化未破裂卵胞(LUF)の場合でも、検査薬はくっきりと陽性反応を示します。
また、後述する多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者では、慢性的にLHの基礎分泌量が高値を示す傾向があり、排卵が全く起きていないにもかかわらず「排卵検査薬が常にうっすら陽性、あるいは偽陽性を連発する」という現象が頻発します。検査薬のラインだけで排卵を過信することは極めて危険です。