幻の竜飛海底駅はなぜ廃止に?現在の竜飛定点と見学ルートの全貌
竜飛海底駅のルーツを辿るには、青函トンネル建設という世紀の大プロジェクトに遡る必要があります。本州側(青森県外ヶ浜町)に位置するこの空間は、もともと旅客駅として構想されたものではなく、トンネル掘削のための作業拠点、資材搬入路、そして完成後の維持管理および非常時の避難所として設けられた施設でした。
しかし、1988年3月の津軽海峡線開業に合わせ、JR北海道はこの特殊な地下設備を観光資源として活用する大胆な試みをスタートさせます。北海道側の「吉岡海底駅」とともに、一般乗客が下車できる世界初の海底駅として正式に旅客営業が開始されました。
海底駅へ降り立つには「海底駅見学整理券」付きの指定席特急券が必要であり、一般の下車客とは完全に区別されたガイド付きツアー形式で運用されていました。薄暗い構内、ひんやりとした独特の空気感、そして頭上数十メートルに海水が渦巻いているという非日常の緊張感は多くの旅行者を魅了し、津軽海峡を越える鉄道旅の象徴的なハイライトとして長く愛されたのです。