「カンテ グランデ 中津 本店」トータス松本も愛したチャイの聖地
今でこそカフェの定番メニューとして定着したチャイだが、昭和の時代においてその存在は極めて稀有だった。創業者である井上博之氏がインド現地で出会った本物の味覚とカルチャーを日本に持ち込み、手探りで再現したことが「カンテ・グランデ」の始まりである。手鍋で茶葉とスパイス、牛乳をじっくりと煮出す濃厚なチャイのスタイルは、瞬く間に口コミで広がり、当時の若い世代やクリエイターたちを魅了した。
日本の飲食業において、本格的なインド料理やエスニック文化を洗練されたインテリアとともに提示した同店の功績は極めて大きい。木々の隙間から光が差し込む地下のテラス席や、インドの手工芸品が並ぶ店内は、まるでブッダガヤやヴァラナシの路地裏カフェに迷い込んだかのような錯覚を抱かせる。この唯一無二の雰囲気が、半世紀近くにわたり「カンテ・グランデ」を伝説たらしめている理由だ。