駒形どぜう本店はなぜ200年愛されるのか?名物鍋と予約の真相

駒形どぜう本店はなぜ200年愛されるのか?名物鍋と予約の真相についての真相をお届けします。

運ばれてきた鉄鍋を前にして、慌てて箸をつけてはいけません。駒形どぜうには、江戸時代から脈々と磨き上げられてきた「粋な食べ方の流儀」が存在します。手順を誤ると、せっかくの出汁が焦げ付いたり、食材本来の旨味を損ねたりしてしまいます。

まず最初に行うべきは、卓上の木箱に山盛りに盛られた刻みネギの投入です。遠慮は一切無用。「鍋が見えなくなるほど覆い尽くす」のが鉄則となります。平たい鍋の底にはすでに出汁が張られているため、ネギの水分と出汁が合わさり、蒸し焼きの状態を作り出します。追加注文の「ささがきごぼう(650円)」を注文している場合は、ネギの前に敷き詰めておくのが玄人の技です。

火が通り、青ネギがクタクタとしんなり沈んできたら食べ頃の合図です。ここで欠かせないのが薬味の選択。卓上に置かれた和歌山県産の香り高い山椒を、惜しみなく振りかけます。舌先に心地よい痺れを与える山椒は、味噌出汁の甘みを引き締め、どじょうの身の甘みを鮮烈に際立たせます。辛味を好む場合は、特製の七味唐辛子を少量ブレンドするのも一興です。

鍋をつつき始めると、平鍋ゆえに出汁が急速に蒸発していきます。ここで重要なのが、各席に置かれている徳利に入った「割り下」の注ぎ足しです。少しでも鍋肌が乾きそうになったら、手早く割り下を注ぎ入れ、常に適量の水分を保ちます。煮詰まりすぎると味噌の塩気が勝ってしまうため、出汁の継ぎ足しとネギの補充をテンポよく繰り返すことこそ、最後まで極上の味を保ち続ける最大のコツです。

鍋をあらかた堪能した後は、ご飯と「どぜう汁」で締めるのがお決まりのコース。濃厚な江戸甘味噌が香るどぜう汁にネギを一掴み落とし、山椒を一振りして啜り上げる瞬間、下町の食体験は完璧な完結を迎えます。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

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