小栗旬が演じた花沢類の衝撃と裏話|名作『花男』伝説の全貌解明
日本中の女性を熱狂させた花沢類役ですが、キャスティングの初期段階において、小栗旬本人は首を縦に振ろうとしませんでした。当時、小栗は舞台の巨匠・蜷川幸雄氏の演出作品で鍛え上げられ、ドラマ『GTO』や『Summer Snow』、『ごくせん』などで陰のある不良少年や不器用な青年役を演じることで評価を高めていました。無骨な役者魂を燃やしていた彼にとって、少女漫画の象徴ともいえる「超美形の御曹司」という役柄は、自身の目指す俳優像とは対極に位置していたのです。
過去のロングインタビューや本人の回想録によると、所属事務所の社長から企画書を渡された際、小栗は「自分にはこんな王子様キャラは絶対にできない。顔も決して原作のような二次元の美形ではないから、原作ファンに猛烈な批判を浴びて作品を壊してしまう」と強く難色を示し、オファーを辞退する意思を固めていました。生身の俳優としてのリアリズムを追究していたからこそ、浮世離れした美男子を演じることへの恐怖と違和感に苛まれていたことが伺えます。
この膠着状態を劇的に打破したのが、小栗の実母と実姉の存在でした。相談を持ちかけた小栗に対し、原作『花より男子』の熱烈な愛読者であった姉は「あんた何様なの? あんたに花沢類ができるわけないでしょ!」と容赦なく一刀両断しました。さらに「花沢類は日本中の女子の憧れなの。できるわけないんだから、下手なプライドを捨てて必死に演じなさい」と叱咤激励されたことで、小栗の役者魂に火がつきました。身内からのあまりにも客観的で手厳しい評価を受けた小栗は、「そこまで言われるなら、泥臭くあがいて完璧な花沢類を具現化してやろう」と覚悟を決め、歴史的オファーの受諾に至ったのです。