溝口敦が暴いた細木数子の正体と裁判の全貌|テレビから消えた真相
2000年代前半、細木数子の影響力は社会現象の域に達していました。『ズバリ言うわよ!』(TBS系)や『幸せって何だっけ 〜カズカズの宝話〜』(フジテレビ系)など冠番組がゴールデンタイムを席巻し、彼女の放つ一言が進路や結婚、改名まで左右する異様な熱狂が日本列島を包んでいました。民放各局は高視聴率をもたらす彼女を「視聴率の打ち出の小槌」として崇め奉り、その過去や占術の正当性に疑義を挟むメディアは皆無に等しい状況でした。
この異様な沈黙を破ったのが、2006年春に口火を切った週刊現代細木数子連載です。執筆を担当した溝口敦は、山口組をはじめとする組織犯罪やカルト宗教の内幕を長年追い続け、幾度も脅迫に屈しなかった調査報道界の巨頭。講談社の編集部とともに立ち向かった溝口敦ノンフィクションのメスは、細木の「カリスマ占い師」という仮面を容赦なく剥ぎ取っていきました。
のちに書籍化された『細木数子魔女の履歴書』(講談社+α文庫、新装版)は、単なる芸能スキャンダルにとどまらず、公文書や戸籍謄本、登記簿、そして当事者たちの膨大な肉声をもとに構成された本格的な人物調査報道でした。連載が始まると同時に世間は震撼し、テレビが作り上げた虚像のほころびが一気に露呈することになります。