『オツベルと象』結末の真相と謎を解剖!白象の笑みと搾取の罠
光村図書をはじめとする中学校の国語教科書に長年採用されている『オツベルと象』は、ある牛飼いが語り聞かせる形式をとった全5幕構成の寓話です。物語の展開はテンポよく進みますが、その内実は極めて重層的です。
舞台は十六馬力の大型脱穀機を所有し、多数の小作人を牛耳る大地主オツベルの農場。ある日、山から神聖な白象がふらりと迷い込んできます。並の人間であれば恐れおののくところですが、狡猾なオツベルは「めっけものだ、こいつを手なずけてただ働きさせよう」と冷徹に計算します。
オツベルは白象を客人としてもてなすふりをしながら、徐々にその自由を奪っていきます。最初は藁(わら)を与えて歓心を買い、次に重い「時計」をプレゼントし、続いて「鎖」を巻きつけ、最終的には「五百キロの赤瓦(レンガ)」を背負わせて過酷な労働に従事させます。白象はオツベルの甘言を信じ込み、「いやあ、時計はいいな」「鎖も重くて愉快だな」と喜んで重労働を受け入れます。
しかし、日を追うごとに餌は減らされ、白象の体は骨と皮ばかりに痩せ衰えていきました。ある月の夜、極限状態に達した白象は夜空を見上げ、涙を流しながら「くるしい、くるしい、サンタマリア」と叫びます。そこに現れたのが「赤い着物の童子」でした。童子に促された白象は、山の仲間たちへ窮状を伝える赤手紙を認めます。
手紙を読んだ象の群れは激怒し、地響きを立ててオツベルの屋敷へ押し寄せます。オツベルは小作人に丸太を持たせ、ピストルを構えて防戦を試みますが、怒り狂った巨象たちの前には無力でした。屋敷の門は破壊され、オツベルは踏み潰されてあっけなく命を落とします。助け出された白象は、最後のセリフとして「ああ、サンタマリア、ありがとう」と口にし、どこか寂しそうに笑って物語の幕が閉じます。