君たちはどう生きるか木村拓哉の全貌!宮崎駿が仕掛けた真の意図
本作で木村が演じた勝一は、一筋縄ではいかない複雑な陰影を帯びたキャラクターだ。戦時下において軍需工場を経営し、戦闘機の風防を疎開先の屋敷に運び込んでは得意げに笑う。亡き妻の妹である夏子を後妻に迎え、新しい命を宿らせる。一見すると無神経で、戦争の特需に浴するブルジョワジーの俗物にも映るだろう。
しかし、勝一は同時に、息子である眞人を狂おしいほどに愛している。学校で怪我を負った息子のために大金を叩いて犯人を突き止めようと息巻き、日本刀を手に森へと分け入っていく。この「愚かしいほどのバイタリティ」こそが、観る者に強烈な実在感を突きつける。美化された聖人君子ではなく、生きる欲望に満ちあふれた生身の人間。その危うい均衡を、木村は見事な声の抑揚で表現しきった。