漫画1冊の読書時間は何分?20分は遅いのか徹底検証!プロが明かす真相
一方で、読書速度が上がらない読者にはどのような構造的要因があるのでしょうか。ネットの掲示板やSNSでは「頭が悪いから遅いのか」と自嘲する声も見受けられますが、それは完全な誤解です。漫画を読むのが遅い決定的な理由の根底には、豊かな感性と認知的誠実さが存在しています。
最も大きな技術的要因は、「内言(ないげん:Subvocalization)」と呼ばれる現象です。内言とは、文字を目で追う際に、頭の中で実際に声に出すのと同じように音声化して再生するプロセスを指します。漫画読むのが遅い人の真相を解剖すると、ほぼ例外なくフキダシのセリフをキャラクターの声色で脳内再生しています。声優の声や自然な会話の間(ま)を脳内でシミュレートしながら読んでいるため、どんなに急いでも人間が実際に喋るスピード(1分間に約300〜400文字)以上に読む速度を上げることが原理的にできないのです。
また、心理学的観点からは「高い共感性(エンパシー)」と「認知的没入度の深さ」が深く関係しています。遅い読者は、主人公がショックを受けた場面で自分自身の感情も揺さぶられ、無意識のうちにコマの前で視線を止め、心理的な余韻を味わっています。コマの余白に込められた意味や、登場人物の葛藤を追体験しているからこそ、ページをめくる手が止まるのです。
さらに、「絵画的鑑賞欲求」の強さも見逃せません。漫画を単なる「活字付きのストーリー」ではなく「美術作品」として鑑賞している読者は、線のタッチ、陰影の付け方、背景美術の描き込みをじっくりと観察します。このように、読むのが遅い人の読書体験は、情報の受取量という観点においては早い人よりも圧倒的に濃密であり、決して劣っているわけではありません。