平成天皇の名前は明仁さま!上皇陛下と呼ぶ理由と皇室マナーを徹底解説

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なぜ昭和から平成への移行時とは異なり、このような呼称の混乱が巻き起こったのか。その発端は、2016年(平成28年)8月8日に宮内庁から公表された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」(ビデオメッセージ)に遡ります。

当時82歳を迎えられていた明仁さまは、自らの肉声で次のように率直なお気持ちを国民へ伝えられました。「高齢となった天皇の望ましい在り方」について深く思索を重ねられ、身体の衰えを自覚する中で、国民の統合の象徴としての責務を全身全霊で果たし続けることの難しさを真摯に吐露されたのです。

宮内庁担当のベテラン記者は当時の現場の空気をこう証言します。「あの日、皇居・宮内庁の記者クラブに走った衝撃は今も忘れられません。憲法第4条で政治的権能を有しないと定められている天皇が、自らの退位に直接言及することは法制度上極めてデリケートな問題でした。しかし、画面越しに伝わってくる明仁さまの張り詰めた表情と、象徴としての地位を全うしたいという強い責任感に、取材現場の誰もが圧倒されたのです」。

当時の世論調査(読売新聞・朝日新聞など報道各社)では、国民の84%〜89%が生前退位(譲位)に賛成・共感の意を示しました。これを受けて国会では迅速な議論が進められ、皇室典範そのものの恒久改正ではなく一代限りの特例措置として「皇室典範特例法」が成立。江戸時代後期の光格天皇以来、実に約200年ぶりとなる天皇の生前譲位が平和裏に実現したのです。

過去200年間にわたって「天皇の崩御=新天皇の即位と改元」というパターンしか経験してこなかった日本社会において、「前天皇がご存命のまま新しい時代を迎える」という事態は前代未聞でした。その結果、「元号が変わったのだから前の方は平成天皇だろう」という誤解が、悪意のないまま国民の間に急速に広まってしまったという構造的な背景が浮き彫りになります。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。