警察犬訓練士の年収ときつい現場の真相|なる方法と適性を徹底解剖
警察犬訓練士を目指す上で、最初に理解しなければならないのが身分の分岐点です。世間一般では「警察犬を訓練する人」とひとくくりにされがちですが、実態は「警察組織の内部で働く警察官」と「外部の民間事業者」に完全に二分されています。この構造を理解しないまま進路を選択すると、取り返しのつかないミスマッチを引き起こします。
第一のルートが、各都道府県警察の正規職員である直轄警察犬訓練士(ハンドラー)です。これは民間の訓練士ではなく、まず地方公務員である警察官採用試験に合格しなければなりません。採用後に警察学校を経て交番勤務などの地域課を経験し、その後、鑑識課や警備部に属する警察犬係への配属希望を出して選考を突破するという、狭き門をくぐる必要があります。身分は警察官であるため公務員としての身分保障があり、警察手帳を携帯して犯罪捜査の第一線に立ちます。
一方、日本に存在する警察犬の過半数を支えているのが、第二のルートである嘱託警察犬指導手です。彼らは警察官ではなく、民間の訓練所で技術を磨いた独立事業者やプロの訓練士です。一般社団法人日本警察犬協会公認訓練士などの資格を取得した上で、自ら育成した犬や一般の飼い主から預かった犬を各都道府県警が毎年開催する嘱託審査会に出場させ、審査に合格することで初めて「嘱託」という形で捜査協力要請を受ける立場になります。
ここで混同されやすいのがドッグトレーナーとの違いです。一般的なドッグトレーナーは、家庭犬の無駄吠えや引っ張り癖を是正し、人間社会で共生するためのマナー教育を主目的とします。対して警察犬訓練士は、犯人の足跡をたどる「足跡追及」、複数人の遺留品から特定の容疑者の匂いを嗅ぎ分ける「臭気選別」、さらには凶器を持った犯人に立ち向かう「警戒・襲撃」など、警察活動の法的証拠能力に直結する厳格な作業能力を犬に刷り込む特殊技能が求められます。